2月23日の日曜日、子どもが「私は左派党(ディー・リンケ)に投票したよ!」と言いながら家に帰ってきました。私自身は日本国籍を保持しており、ドイツに25年住んでいても参政権はありません。とはいえ、家庭では選挙が近づくにつれて政治の話題が多くなります。
特に今回は、不在者投票も多く、我が家でも2人は事前に本来の住まい以外から投票をしていました。
結果として1990年のドイツ再統一以来の最も高い投票率であったのも頷けます。EU/ドイツの若者は、自分事として政治に関心が高く、学校でも討論して親しい友人が全く違った意見であったことにぎょっとするといったことを経験し、意思を表明するデモへの参加も積極的です。
今回はやはり極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進して第2党となったこと、かつてメルケル首相が率いた最大野党の中道右派「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」がどこと連立を組むのかというのが最大の関心事です。
首相であったショルツ氏の中道左派「社会民主党(SPD)」は惨敗(第3党)、AfDが大幅に得票率を延ばし、その反動として左派党も伸びました。
気になるのはかつての東ドイツである5州はどこも極右が第一党になっていること。ある政治家が「東なしで政治をした方がいい」という発言もしたこともあって、統一後35年という節目の年に亀裂が生じている印象があります。
一方、AfDを支持する若者たちは自分が極右支持であるという意識は薄く、中道右派だと思う傾向が強いようです。第二次世界大戦前のヒットラーが躍進した時も選挙は行われ、自らの意思で誤ったリーダーを選出したことがその後に悲劇に繋がったことを思わずにいられません。
アメリカが第一主義を掲げ、ヨーロッパで極右が躍進し、自国の利益を追求することを明言して憚らない傾向が大きな流れになっています。世界の秩序が変わる只中にいるように感じます。
(Y・A)