持参型のホームパーティーで日本人に持ってくることが期待されるものは間違いなく「SUSHI」です。
ドイツ人のイメージする寿司は海苔巻き。「カルフォルニアロールが寿司の仲間であるように、江戸前もチラシも稲荷も寿司の仲間なのですよ」と言っても、相手の顔にはハテナマークが浮かぶだけ。
そもそも酢飯を使っているというところから説明を始めないと分かりません。先日、おにぎりは酢飯で作るものと思い込んでいる方がいました。日本ではおにぎりを酢飯で作ることはあまりない、日本人がおにぎりと言ったら普通のご飯で作るのが極めて一般的と説明しても、「でも酢飯で作ってもいいんでしょう?」と言われ、「作ってもいいけれど、スーパーでは売られていない」と言ったら、納得いかない顔をされていました。
ドイツのスーパーで売られるようになったおにぎりでも、使われているのは普通のご飯なのに…。どこで酢飯だと思い込んだのか謎です。もしや腐ったおにぎりを食べて思い込んだとか、それとも日本人が腐敗防止に酢飯で作って持っていったものを食べたとか。最近はごちそうおにぎりと称して色々アレンジがありますし、考えられなくはありません。あるいはにぎり寿司をおにぎりと勘違いしたとか…謎は深まるばかり。
「でも、握ってあるから『おにぎり』でしょう?」とさらに言いつのってこられた場合は、「間違いではないけれど、現代日本では一般的には『おにぎり』に酢飯を使うことは少ない」「NIGIRIはお寿司、ONIGIRIはおにぎり」を繰り返すしかありません。
植民地を持っていたからなのか、はたまたそもそもラテン語族の方が食に敏感だからなのか、フランス人は現地の食材や料理法を忠実に再現しようとするのに対し、ドイツ人は食に関し概して大雑把。時に不思議なアレンジを加えて、それを本物だと思い込むことがあります。実は日本にも同じようなものがあるかもしれませんね。
(Y.A.)