「KARAOKE」という文化

 「じゃ、次はカラオケ行こうか!」というのは、日本では飲み会の後でよくあるパターンです。

 

 ドイツ人は着席したらビール1杯とつまみで何時間でも話していますが、日本人は場所と趣向を変える傾向があります。ドイツ人にとっては、良い感じに話が進んでいるのに場所を変えること自体がすでに不可解なのに、その行き先がカラオケとなると、これはかなり理解に苦しむ状況です。

 

 というのも、ドイツ人の日本人に対するイメージと言えば、意見を言う時も遠慮がち、控えめに周囲に気を使って、目立たない、目立ちたくないというのが一般的です。カラオケはそのイメージとはかけ離れています。

 

 おとなしいと思っていた日本人が、カラオケとなるや突如水を得た魚のように目をキラキラさせて選曲カタログをめくり、争うようにマイクを回して2時間歌いっぱなし…。ドイツ人としてはイメージの相違を飲み込むだけで精一杯なのに、親切とばかりに歌うように勧め、マイクを渡してくるとなると、窮地に立たされた気分です。

 

 一方の日本人からすると、人前で堂々と自信に満ち溢れたプレゼンテーションをし、答えにくい質問にも上手く回答していくドイツ人ならどれほどの歌唱力を披露してくれるのかと多少の期待をしています。歌合戦なら日本のカラオケで鍛えてきた自分にも多少の覚えがあるというものです。

 

 しかし、マイクはドイツ人の間で次から次へと隣の人に回され、曲は決まらず、ようやく歌い出したと思ったら、マイクなのに声が小さいという展開。これは大いに考えられます。

ドイツ人の日常にはマイクで歌うという行為はないので、そもそも慣れていないのです。

 

 デュッセルドルフやベルリンといった日本人が多い都市にはカラオケがあります。しかし、仲良くなりたいドイツ人を連れていくのは十分に注意が必要です。

 

Y.A.

 

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