ドイツ鉄道あるある物語

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設)

日々の暮らしでちょっと気になるテーマに注目!

 

ドイツの東の端にあり、

チェコ共和国との国境まで30キロというドレスデンから

プラハ行きの電車に乗ろうとしたところ、

電光掲示板に「80分遅延」の表示が出ていました。

 

インフォメーションで聞いてみると、

「他にプラハへ電車で早く着く方法はないけれど、

少なくとも電車はホームに定刻に入ってくるわよ」とのことでした。

この先の区間に制限があるので仕方がないのだろうだといいます。

 

いつものことでもはや腹を立てる気にもならないとつぶやきながら

駅舎の片隅に座っていたものの、寒いのでせめて電車の中で待とうと

来ていたプラハ行きの車両に乗り込みました。

 

本来なら出発する時間だったのにと時計を眺めてため息をついていた頃、

大きな荷物を持った女性が車両に乗ってきて、

「空港に行きたいのに遅延で本当に困るわ。

でも、とりあえずコーヒーでも買って来ることにするわね…」と

荷物を置いてホームに出ていきました。

それから5分、ふと気がつくと電車がゆっくり動き出しています。

80分の遅延予定が一気にわずか10分に縮まり、

注意アナウンスもないまま電車は静かにホームを出てしまったようです。

 

荷物だけを乗せて電車は発車、

残された女性は呆然とコーヒーを片手にホームで立ち尽くしたに違いありません。

財布は持っていったものの、遠方への旅の始まりがまずは終着駅であるプラハ中央駅での

荷物の捜索からというのは悲劇です。

 

やってきた車掌にその事情を話しをすると、

それは一大事と連絡を取り始める前に、

車掌自身も突然、緑のランプでその電車に乗るよう指示があり、大急ぎで飛び乗ったのだ、

自分も大変だったと言います。

車掌も乗り遅れたら、国を繋ぐ国際列車でありながら

車掌なしということもあったのでしょうか。

そもそも80分遅延と記載されていなければ電車から降りることもなかったと思うと、

その女性が気の毒でなりません。

 

いずれにしても、10分遅れで出発した電車なのに予定時刻よりも20分も早く到着し、

そもそも運転ダイヤも怪しく感じられてきました。

 

掲示板も信じられないとすると、

ドイツにおける鉄道の旅を安全にこなすにはもはや経験と勘が頼りです。

 

今回は、電光掲示板も軽く信じない、来た電車には乗っておく、

荷物は手元に置くというという、三つの鉄則を追加的に学びました。

ドイツ鉄道に乗るとほぼ必然的に望んでもいないアドベンチャーに遭遇します。

 

ちなみに、プラハ中央駅の電光掲示板では

出発の15分ぐらい前にならないと出発ホームが表示されません。

面倒ではありますが、今回ばかりはそれも一理あるのだろうなと納得してしまいました。

 

日本の常識は世界のほとんどで通用しないと実感します。

 

(Y.A)

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