中世の町を貫くディンケルスビュール、あっぱれ!

EUセンター: ドイツ ハイデルベルク (2000年開設) 気になるテーマに注目!

 

ドイツで最も有名な観光街道「ロマンチック街道」は、

ドイツのヴュルツブルクからフュッセンまでを南北に結ぶ観光ルートです。

中でもハイライトとして知られるのがローテンブルクですが、

街並みとしてはディンケルスビュールの方が中世の雰囲気を色濃く残しています。

 

17世紀にドイツ語圏の人口が半分に減ったと言われる30年戦争(1618~48年)や

第一次大戦・第二次大戦を通じほとんど戦火を浴びていないという極めて珍しい街なのです。

旧市街の家屋の60%は500年、80%以上が350年以上前に作られた建物というから驚きです。

 

30年戦争以来貧しかったことや、現在までも電車が通っておらず

車でないと行きにくいことは、この町の雰囲気が守られてきた重要な要因ではありますが、

最大の要因はやはり市民の意識とそれを反映した市制であると思いました。

 

なにしろネオンや看板による宣伝は禁止、店名などは旧シュヴァバッハー文字

(ルネッサンスの三大発明の一つとされる活版印刷の父・ヨハネス・グーテンベルクが

使った書体)で書くことが決められています。

 

そのため美容室やケバブ屋でさえ外装の雰囲気は実に中世的。

外壁の色は基本的に個人の自由ですが、1800年以来「石の色にあるような色合いで」

塗ることが推奨され、「白」は避けるようにとなっています。

 

いずれにしても市が口を出してくることが多いそうです。

さらに言えば、屋根の色はレンガ色と決められており、

大通りの目に見えるところにアンテナを立てることはできず、

窓枠は木製でなければならず、電柱もありません。

 

車は必要な交通手段として市中に入ることが認められているものの、

馬車と同じ速度で走る原則になっています(馬車は全力でも20キロ/時程度だそう)。

恐らく夜になると家屋の玄関の灯りを頼りに歩くことになるのでしょう。

この徹底ぶりはすごい…!

 

「中世のドイツを感じたい」のであればローテンブルクよりも

むしろディンケルスビュールがお勧めです。

ちなみに中世のお城ということであれば、ノイシュヴァンシュタイン城ではなく

ゲーテ街道沿いアイゼナッハのヴァルトブルク城を訪ねてみてください。

 

Y.A

 

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