兎と亀

 

 出社の風景は人生の縮図。

 

 様々な思いを抱え、多種多様の服装を纏い、

 種々の乗り物を選び、会社へと向かっていく。

 

 そんな日常の中で、

 最近出会うご仁に関心と心が奪われた。

 小さい車輪の、多分折り畳み式の自転車だろうか、

 長めのコートにカバンを背負い、急ぐ様子もなくゆったりと過ぎていく。

 

 急ぎ足、走る人、自転車を飛ばす人もいる中で際立っている。

 

 出社、出社時間、所要時間、乗り物は決まっている。

 目的、道筋、段取りさえ決めていれば、事は成る。

 急ぐ必要はない、誰しもが分かっている。

 

 日々繰り返す日常に、その人の生き方、在り様が投影される。

 我が身、我社を振り返りつつ、童話「兎と亀」を思い出している。

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