EUセンター:ドイツ ハイデルベルク(2000年開設)
「宿題や講習、部活があるなら、
そもそも日本では子供に夏休みがないって言うことかしら‥?」。
かつては「働きバチ」、昨今は「過労死」の言葉に代表される日本人の働く姿勢は
子供時代から形成されている、そう訝しむようにドイツの友人が放ったコメントです。
確かにドイツと日本では夏休みの捉え方が異なります。
そもそもドイツでは学年が9月から始まるため、学年を超えた宿題はなく、
よほどの例外でない限り、部活や講習で夏休み中に学校に行くことは、
生徒も教師もありません。
今年は子供の通う極めて一般的なギムナジウム(総合大学進学を目指す場合に通う日本では小学校5年生から高校卒業までにあたる学校)では、
日本で言うと高1から高2に進級するクラスの23人中8人が留年という現実でした。
日本では想像できないほど高い率ですが、
ドイツでは成績が振るわないクラスに時折起こる状況です。
クラスで数名は留年するのはむしろ普通です。留年は各学年において1回可能。
すなわち極端な話では各学年を2年ずつ修業していくことも理論的には可能で、
珍しい例にはなりますが4年遅れてアビトゥア(高校卒業試験)を受ける生徒もいます。
留年はその後の進路に絶大な変化をもたらすものではありません。
そのため、最初は進級できないことに落ち込んだ生徒も親も、夏休みを経て気力を取り戻し、
9月に新学期を迎えます。
夏休みは「休むための時間=リセット期間」というのがドイツの一般的な考え方でしょう。
一方、日本は学校も家庭も夏休みというと遅れを取り戻したり、
能力を集中的に伸ばすことに熱心であるようです。
良し悪しを判断することはできませんが、最終的に育つ能力に大差がないとしたら、
ドイツ式の方が親子ともども格段に楽なことには間違いありません。