呼吸するベビーワイン、フェーダーヴァイサー

 

 太陽の光が弱くなり秋を感じさせる晩夏の風物詩と言えば、

「フェーダーヴァイサー」の名前で親しまれている新ワインです。

 一般的には9月中旬から11月中旬まで楽しむことができ、10月がハイシーズン。

 

 言わば生きている発酵中のワインで、

 糖分がアルコールと二酸化炭素に分解されていくので、

 通気性がないとボトルが破裂してしまいます。

 そのため蓋には針の穴位の小さな穴が開けられています。

 

 近所の八百屋では量り売りをしており、瓶やタンクを持参して、瓶の重さを計ってもらい、

 中身を入れて再度計ってもらって、入れた量だけの値段を払います。

 容器を持参する量り売りは昔のやり方に思えますが、

 実はこれは現代のドイツで流行りつつある売り方・買い方と言えるでしょう。

 

 近頃は日常生活でいかにプラスチックを避けるかが学校でテーマとして取り上げられることも   多く、子供たちはとても敏感です。

 スウェーデンの女子高生・環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの行動から始まった若者たち   の活動「フライデー・フォー・フューチャー」の影響も多いにあります。

 

 日常生活で自分がどう行動するのかが大人の間でもより頻繁に問われるようになりました。

 プラスチックではなく瓶入りの飲み物を買い、

 青物市場でチーズや野菜や肉・魚を量り売りで買う…。

 実際には買い回りが面倒で気分に余裕がある時でないとできないとはいえ、

 量り売りで物を買うと本来あるべき正しい方法で買い物ができたという満足感があります。

 

 さて、注ぎ口がいくつもあることから分かるように、

 収穫時期にはぶどうジュースもりんごジュースも売られており、

 ジュースの場合はかなり甘いので炭酸水で割って飲んだりします。

 ちなみに、フェーダーヴァイサーが甘すぎる場合は、

 室温で6〜8時間放置して、発酵プロセスを進めます。

 

 フェーダーヴァイサーとして販売される以上、

 少なくともアルコール含有量4%である必要がありますが、

 糖分と状態によっては11%まで上昇することがあります。

 しかし、酵母が残っていることから、

 アルコール度数は同じように高くてもワインとは異なる味わいです。

 

 フェーダーヴァイサーは通常、

 良質の白ワイン製造には不向きな品種や早熟のブドウから作られ、

 オルテガとソラリスというよく品種が使われます。

 

 ブドウの収穫時にワイン産地を訪ねることがあったら、

 生きているベビーワインを探してぜひお試しくださいね。(青木)

 

 

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